2023年2月18日(土) ~ 2月26日(日) まで
画廊企画 徳永陶子展 ープロセスと色彩—を開催します。
展示ステートメント/Statement
頭の中に蓄積されてきた浮遊する記憶の断片を捉え、それらを視覚化するという構想で、様々な角度から「記憶」をテーマに制作して来た。「制作のプロセス」は細分化された「記憶」のかけらを反復の中で結びつけることだと考えている。
素材を積み上げたり、そぎ落としたりするという行為(geste)そのものが、自分の「記憶」の視覚化であった。「制作のプロセス=記憶」だ。
何らかの記憶に結びつく思いがあってキャンバスと向かうとき、これから実現される視覚像そのものは、キャンバス上はもとより頭の中にもない。あるのは様々な無数の点在する記憶の世界で、それが行為を突き動かしキャンバスの上に視覚像を実現する。
“色彩”を意識的に制作の中心にすえ描いている。キャンバスに置かれる初めの色彩、それによって呼び起こされる次の色彩、色の積み重ねは記憶の痕跡をたどるような経験でもあり、それがまた新たな色彩のイメージを形作っていく。色彩の力強さを改めて感じながら言葉では表現しきれない記憶を視覚化していきたい。
作品の素材について
作品は全て綿キャンバスにエマルジョン(半吸収性下地)を施した上にFlasheフラッシュ(ビニル絵具ルフラン・ブルジョワ社・仏)で制作されています。
この絵具はビニル樹脂で水溶性、乾くと耐水性をもちます。顔料の粒子がとても細かいです。絵具をたくさんの水にといて塗るグラッシという技法では透明色を重ねていくことで複雑な色の効果を得ることが出来ます。仕上がりはマットな質感です。
ヨーロッパではフレスコ画の修復時に用いられたり古典技法におけるテンペラ絵具と油絵具との混合技法にも使用されたり出来る絵具としても知られています。イタリア人の画家レオナルド・クレモニーニはこの混合技法で制作した代表的な画家の一人です。又壁画制作にも使われます。
私にとって素材とテーマの関係性はとても重要な意味を持ち、特に素材との触覚的な相性が深く制作のプロセスにかかわっています。これまで油絵具をはじめ多くの素材を用いてきました。フランスでこのビニール絵具と出会い20年以上使用してきました。この素材との出会は現在のテーマをより深く掘り下げ、導き出すという素材とテーマの相互の関わり方をより気がつかせてくれています。
徳永陶子展/OUTLINE
会期:2023年2月18日(土) ~ 2月26日(日) まで※20日(月)は休廊
時間:午後12時〜午後6時(最終日午後6時終了)
展示作家:徳永陶子
場所:ギャラリーいちょうの木
東京都八王子市千人町1丁目2−17 八王子サマリヤマンション−1F
(JR中央線西八王子駅より徒歩7分)
作家在廊日 :2月18日(土)、 19日(日) 、23日(木)、 26日(日)
作家紹介/ARTIST
1967年 東京生まれ
1991-2007年 フランス・パリ在住
1991年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
1995年 パリ国立高等美術学校(ENSBA)卒業 修士号取得(DNSAP)クロード・ヴィアラに師事
1997-2008年 フランス芸術家協会会員
2001年 平成13年度ポーラ美術振興財団在外研修助成により南仏ニースにて研修
「色彩の記憶―中世民話、説話、伝承における色彩」
2003年 日本美術家連盟会員
2019年-2021年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科非常勤講師
2022年- 創形美術学校非常勤講師
2023年- 武蔵野美術大学造形学部油絵学科非常勤講師
その他の略歴は、以下のPDFでご覧いただけます。